挨拶力は、 WHOが定めたライフスキルの内のコミュニケーション・スキルの典型的なスキル で、挨拶には感謝する能力が含まれています。 挨拶は社会人ホヤホヤの新入社員の方が、真っ先に身につけるスキルですが、 社会経験が豊富な人は挨拶の達人になるつもりで努力したいスキルです。

 

最近は、新入社員に限らず、挨拶ができない、しない人が多い傾向にあるのは どうしてでしょうか?

挨拶の言葉はとっても素敵な言葉で、気持ちを和ませる力があるのに、挨拶をしないのは、もったいないとしか言いようがありません。
子どもは主に挨拶が学校で学びます。先生が教室に入ってきて場が落ち着いてから、代表者が「礼」と号令をかけます。そこで一斉に立ち上がって、挨拶をします。 挨拶とは、特別な儀式であると感覚的覚えてしまった人が増えているのかも知れませ んがそうではありませんね。挨拶には意味が込められています。どうせ決まり文句、言っても言わなくても同じと思っているかも知れません。挨拶するのが、恥ずかしい、照れくさいということもあるかも知れませ ん。

しかし「挨拶」は、人間の基本なのです。

 

なぜ挨拶は人間の基本なのでしょうか。

 

挨拶とは、相手を思い、自分を思う、思いやりと感謝の気持ちそのものです。 挨拶の言葉には、いくつもの思いがこめられています。

「おはようございます」には、私は元気です。あなたはどうですか?私は今日 も頑張ります。あなたもがんばってください。

「いらっしやいませ」を売るためのおべんちゃらと考えている人がいるかも知れません。
「いらっしやいませ」には、 よくお越しいただきました。当店を選んでいただきありがとうございます。わざわざお時間をさいていただきありがとうございます。というような意味があ ります。

ですから、相手が誰であっても、自分から近づいて挨拶しましょう。 相手が先輩、上司、お客様なら当り前、後輩、家族、友人にも自分からしま しょう。

挨拶は楽しいものです。自分の良心と良識、つまり挨拶を通じて自由を表現す るわけですから、愉しくないわけがないのです。愉しいことを陰気な感じでし ていると、自分でも自分の感情がなんだか分からなくなってきます。 挨拶が愉しいものと思えないという人は、その意味をよく考えてください。

出かけるときの「行ってきます」には意味があります。 私は外でする用事があるので出かけます。出先での仕事に頑張ります。留守を よろしくお願いします。私に用件が入ったら代わって応対してください。と いった意味が込められています。

「いってらっしゃい」には、「気をつけて行ってきてください。」の意味があ ります。あなたの留守中、頑張ります。あなたに用件が他から入ったらあなた に代わって応対しておきます。といった意味が込められています。

「気をつけて」「今日も元気で」「皆さんによろしく」、言葉にできないメッ セージをひとことに込めて、挨拶をしていると、挨拶するほどに心の泉に愛が たまっていきます。

家族の間でも同じです。お母さんとこどもの間でもメッセージがやりとりされ ています。だから想いがしっかり伝わるように、元気に明るく、笑顔で、相手 の目を見て心で伝えるようにします。目は心の窓です。

目を見ないで、挨拶したり、ありがとうございますと言っても、心は届きませ ん。言葉は相手の意識に届きますが、まなざしは相手の心に届きます。 思いやりをこめて挨拶することがとても大切なのです。メッセージと共に、自然に親しみとやさしさが伝わります。あたたかい気持ちを投げかけたら 、やっ ぱりお返しにあたたかい気持ちが返ってきます。だから身体を使って態度で表 現すると、より伝わります。

歩いているときに、出会ったら、立ち止まって挨拶をします。 「おはようございます」の最後の「す」を言い終わってから、お辞儀すると、 一層伝わる力が強まります。お辞儀は身体で表現する挨拶です。 お辞儀には、腰を折る角度が15 度の「会釈」、30 度くらいの敬礼、45 度の 最敬礼の3 種類があります。

お客さまの出迎えやお見送り、訪問した場合は、最敬礼です。 同僚には会釈、頻繁に接する上司には会釈、多少あらたまった場合には敬礼で す。最敬礼でも悪くありませんが、しかし家族間で最敬礼は変です。 ですから家族とはいかないにしても社内の場合は「身内」ですから深々としな いのが普通です。最敬礼をしないのは、お互いの間にある「境界」をゆるめて いるからです。 国と国の間には国境がありパスポートを確認します。最敬礼をしないのは、パ スポートの確認をしなくていいような意味です。しかし、境界があることを忘れてはいけません。ゆるめるのと越えるのは全く違います。

気持ちのいい挨拶ができることは、お互いの境界を認めることですから、自立 が進むことなのです。挨拶をすると開放感が自分の内側で起こります。どんど ん自由になっていきます。心をこめた挨拶をするたびに、自立に向かっていま す。

 

世界には6100 からの言語があります。言葉は違っても、 世界中で一番美しい 言葉 「ありがとう」です。言葉が違っても美しいのは、感謝する心が美しいの は世界共通だからです。

世界中の人々は美しくなるためにお金も時間も使っています。先進国であるほ どそうです。だから美しい言葉 「ありがとう」を使わないのは矛盾していま す。どんどん気持ちを込めて使わないと、損をします。 「ありがとう」を使う習慣を持った人は美しく見えます。

使い方によって、さらに美しくも、カッコよくも見えます。

気持ちが伝わりやすい「ありがとうございます」は、気持ちが伝わりやすいだ けに、繊細なので、取り扱いに注意が必要です。

さて、現在形の「ありがとうございます」と過去形の「ありがとうございまし た」は同じでしょうか? 過去形で言ってしまうと、相手に「もう用件は終わりました。後は勝手に。」 と聞こえる場合があります。せっかくの美しい心が歪んで聞こえてしまうことが あります。これでは寂しいですね。過去のことでも、いまの気持ちで感謝を伝 える方が、うれしく響きます。

英語のTHANK YOU に過去形はありませんよね。使い方に気をつけて、現在形 で伝えると「いま私は感謝しています」の意味になります。感謝の心はいつも 「ありがとうございます」で伝えます。

「ありがとうございます」に気持ちをこめて、どんどん使えば、使った人は美 しく見えますし、相手の方も美しく見えますよね。 高価なファションに身を包まなくても、自分の気持ちを言葉にすれば、より美 しく見えるのです。 挨拶も、ありがとうも、現在形で、相手の目を見て身体を使って、心で伝える ようにしましょう。