人を育てるゲンキポリタン。(一社)いきいきゴエス協会代表理事100年ライフの特別な一日。日本代表、Naomanです。
フロイトが提唱した「抑圧」をはじめとする10の防衛機制は、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムです。さらに弟子であったメラニー・クラインは、分裂、投影同一視、取り入れなどの防衛機制の概念を発展させた。
3歳から5歳の時期には、教えてもいないのに「同一化」をするようになります。つまり「欲求不満」が無意識に働くようになるので、注意深くコミュニケーションしてあげましょう、
同一化する3歳児
3歳~5歳の時期になると親を真似るようになります。
これは心理学でいう「同一化」という行動です。
「同一化」は「防衛機制」のひとつで「防衛機制」とは欲求不満などによって環境に適応が出来ない状態に陥った時に行われる自我の再適応するための仕組みです。
自分自身の心を、さまざまな方法で守ろうとするもので、「同一化」はそのひとつです。
一般には、自分にない名声や権威に自分を近づけることによって自分を高めようとすることと定義されています。
不足する能力に不安を感じている
幼児の同一化は、自分に不足している親の能力に、自分を近づけたい欲求から生じるもので、「自立」への憧れが動機付けになっています。
この時期、男の子はお父さんの真似を、女の子はお母さんの真似をします。
お母さんのこの時期の目的は、「情緒の安定」です。
幼児が自分の能力不足に不安を感じているので、愛着の絆をしっかり育みましょう。
それには父親・母親との間のバランスのとれたコミュニケーションが必要です。
夫婦が力を合せて、目的である「情緒の安定」を達成するために、保護的な母の心、厳格な父の心をバランス良くしっかり教えるようにします。
「三つの心」
バランス良くしっかり教えるとは、調和のとれた「三つの心」を子どもに対して肯定的に、落ち着いた雰囲気の中で教えることです。
「三つの心」とは、誰もが持っている心です。
- 親の心
- 大人の心
- 子どもの心
の三つです。さらに分類すると
親の心には
- 厳格な父の心
- 保護的な母の心
親の心を裏返したように、子どもの心には
- 無邪気な子どもの心
- 従順な子どもの心
があります。
人は誰でも三つの心を使ってコミュニケーションしていますが、子どもは本来「無邪気な子どもの心」しか持っていません。
「無邪気な子どもの心」こそが自然な心と言えます。
成長とともに、親の心が育ち、集団生活を通じて「大人の心」が芽生えてきます。
この五つの心のバランスで人格が決まり、何かにつけて得手、不得手が生じてきます。
たとえば厳格な父親の心が弱く、保護的な母親の心が強いと、ビジネス社会でマネジメントに不向きな人格になってしまいます。
しかし、厳格な父親の心が強すぎて、保護的な母親の心が弱いと、適切なリーダーシップが発揮できないというようなことが起こります。
苦労して会社を大きくしても、ブラック企業と批判され評判を落としてしまうのも、厳格な父親の心が強すぎたことに起因する失敗と言えます。このように良くも悪くも努力を超えた力が働き、後天的な学習成果を凌駕してしまうのです。
勿論、学習力を持った人なら、いくつになっても、体験を通じて5つの心のバランスは変化していきます。
システム思考を使って3歳児を支援する
子どもは真似をすることで、不足するスキルを補おうとします。
それは自然な行為なので、コントロールするものではありませんが、親の立場では、5つの心をバランスの良くもった子どもに育てることが大切です。
特に注意したいのは、「従順な子どもの心」です。
「従順な子どもの心」は「無邪気な子どもの心」の対極にあります。
保護的な親の心が強く、厳格な父親の心が弱いと、無邪気な子どもの心が強くなりますが、逆だと従順な子どもの心が強くなります。
「見せかけのやる気」になりやすい従順な子どもの心
日本人はよく働くくといいます。
正確に言うなら「長時間働く」ということでしょう。
自分が知る限り、時間あたりの生産性が高いのはアメリカ人です。
彼らは時間から時間まで、本当に集中します(時給の低い働かない層もいます)
時間になるとピタツと停止します。
日本人が「見せかけのやる気」が多いのは、本人の資質より徳川幕府から変遷してきた社会システムの影響だと思います。
実質より見た目が重視された社会風土というか病理があるように思うのは自分だけでしょうか?
しかし長い100年ライフ、古い価値観では幸せになれません。
生産性の高い子どもに育てる支援をする
「生産性の高い子どもに育てる支援をする」とは、無邪気な子どもの心が育てることです。
よく親が議員、教師、牧師など、社会的な立場上、無邪気になれない父親の家庭では厳格な雰囲気が支配しがちです。
母親も父親をサポートしょうとして、子どもは従順であることを強いられがちになります。
子どもに抑圧が起こり、長く続くと無理が生じて暴発することは珍しくありません。
逆に俗に言うカカア殿下の雰囲気が支配的になると、厳格的な父親の心は弱まり、母親も保護的な心を発揮すれば子どもには無邪気な子どもの心が育ちます。
無邪気な子どもの心が育ちすぎると社会的な制約が弱くなり、自律が弱く、責任ある仕事に向かない性質が強くなる傾向が強くなることもあります。
この時期に、お父さんと接する機会が少ないと、厳格な父の心が身につかなくなり、やりたい放題になります。
その分、お母さんがお父さんの役割をこなそうとして母性的な気持ちを抑圧すると、こどもは受容されていないと感じて、不安になります。
子育てに重要なマインド
愛着を育む子育ては次の5つで構成されています。
- 安全感を保証すること
- 共感性・・・求めていることを察知して共感力の高さです
- 応答性・・・相手が求めていることに応じてあげる感受性の高さ
- 即答性・・・応答性はタイミングが合ってこそ効果を発揮します
- 安定性・・・いつも変わらぬ一貫した対応です、その場の気分で応じたり応じなかったりは禁物です。
パパの力も借りて「安全基地」になってあげる
安全基地、つまり困ったらいつでも戻る場所があるとしっかり記憶を作ってあげる。
そのために愛着の絆をしっかり作っておく。すると子どもは安心して冒険できます。つまりチャレンジができるようになります。これは一生続きます。親がなくなっても生き続けるのです。
両親の愛情ある関わりが必要な時なので、忙しくてもお父さんの育児参加を計画的に実行します。
単身赴任などが生じたときには、「仕方がない」で母親に任せるのではなく、父親とコミュニケーションするようにしましょう。現在は通信手段が発達しているので、少し知恵をしぼれば自分に適した方法が容易に選択できます。
また、この時期、言うことを聞かないと、叱り飛ばす親を見かけますが、効果はありません。子どもに自律が身についていないので、聞いたふりをしているだけがほとんどです。
注意しても効果がないのでイライラするし、一層激しく感情的に叱りますが、そんなことにならないように、「10ヶ月~18ヶ月」の時期に「躾(しつけ)で制約があることを教える」という目的を達成しておきましょう。
つまり理想的な子育てにチャレンジするとは、親自身が自覚をもって、親の育て直しをせざるを得ないのです。子育ては仕組み、メカニズムであり、幸せな子どもに育てるには、なにかひとつではなく、クモの巣のように、理にかなった糸をつないでいくことが重要なポイントになります。
そういうと難しく聞こえると思いますが、それぞれのステージの目的を達成するれば良いわけで、そのために親が役割を果たせば良いだけのことです。この合意形成が、出産までに考えておきたい重要な準備なのです。
学業は、小さいときに習慣化させておくと、成長のプロセスでも楽です。親の真似をするこの時期は、よく学びよく遊ぶを親が実践、よく勉強し、スポーツするようにします。またボランティア活動に親が参加することも大切です。こどもの前での夫婦ゲンカや、ごろ寝でテレビのようなダラダラした態度はやめてください。
参考 防衛機制の一覧
- 抑圧
- 投影
- 同一視(同一化)
- 取り入れ(摂取)
- 合理化
- 反動形成
- 分離
- 退行
- 昇華
- 打ち消し
- 置き換え
- 補償
- 自己への向き換え(自虐)
- 逆転
- 知性化
- 転換
- 行動化
- 身体化
まとめ
安全基地、つまり困ったらいつでも戻る場所があるとしっかり記憶を作ってあげる。この記憶が無意識に生涯続きます。自分への信頼感に、背後霊のようにくっついた状態になるのです。
安全基地がない人は、依存症に陥りやすくなります。安心を求めてもどこにも得られないので、なにかにすがるように、無意識に依存してしまうのです。
安全基地を持たないことは一生のロスになります。
この3歳から5歳は、その決定的な時期になるので、仕事なんか放り出して、親は総力をあげて、5つの愛着を育むマインドを使いましょう。つまりその予定でライフプランをしておきましょう。