18ヶ月~3歳までの時期は、「自立」の基本が完成する大切な時期です。
この記事は前回の『人生が決まる10ヶ月~18ヶ月の時期』と併せてお読みください。
「魔法の子育て」の核心です。
この時期の対応を間違わなければ、親子ともに幸福で楽しみを分かち合える関係を築ける確率が高くなりますが、
間違うと、親子ともに不幸な関係しか築けなくなるからです。
18ヶ月~3歳は対人関係の仕方を決める時期
まず、この時期は、感染症にかかりやすいので、注意してあげましょう。
もし、感染したら、最善を尽くしてあげましょう。
身体のケアの意味もありますが。愛着関係を育み、人間関係を形成する力になります。
18ヶ月~3歳の時期は自分が大事にされているかどうかを確認する時期。
- 自分は守ってもらい、注目してもらう価値があるか,
- 愛される価値があるか
- 他者は自分を受け入れてくれるか
- 求めに応じてくれるのか
この時期に自分が大事にされていないと感じると、自分を大切に扱ってほしい欲求だけが強くなり、他人に対しても大切に思えなくなります。
この時期の目的は、アサーティブ(積極的自己主張)にイエス、ノーと言えるスキルを身につけさせることです。
自己主張を率直に認めてあげることが大切です。
こどもは自分の好みやしたいこと、したくないことを主張します。
この主張には、「自分が大事にされているかどうかを確認する試し行動」が含まれています。
子どもは自分が守られているかどうか、気になって仕方がありません、
それを理解せずに。こどもの主張にイライラすると親は自分の苦労を考えてしまいます。
自己憐憫になることで、子どもの意見を率直に受け入れず拒否したくなる場面も増えます。
子どもに対し否定的なるのは危険な行為で、否定感を植え付けてしまう危険があります。
対人関係の仕方は4つ、身につくのはひとつ
- 自分はOK、他者もOK
- 自分はOK、他者はNO
- 自分はNO、他者はOK
- 自分はNO、他者もNO
対人関係の仕方は4つしかありません。
このなかから身につくのは、ひとつです。
選ぶのではなく、愛着関係のあり方を通じて、自然に身につきます。
『し合わせ」になる対人関係の仕方はたったひとつ。
このうち私たちが社会で生きて行く上でとる好ましい態度はひとつだけです。
「自分はOK、他者もOK」だけです。
それ以外の
- 自分はOK、他者はNO
- 自分はNO、他者はOK
- 自分はNO、他者もNO
3つのスタイルは、どれをとっても成功はなく、『し合わせ」にはなれません。
少なくとも「幸福な成功」はありません。
愛着障害になると、困難なことが起こってしまう
特に「愛着障害」のある人に育ってしまうと、
- 安定した人間関係を築くことに難がある
- 不器用であるために、仕事やプライベートでトラブルを起こしやすい
- 感情のコントロールに困難がある
- 精神疾患を発症しやすく、発症した場合、重くなったり長引く
- 自分を肯定的にとらえられない(他者に対しても同じくの場合がある)
- 「すべてか無か」二極思考になりやすい
- 疲労しやすく、自律神経のトラブルが起こりやすい
- 自分の生理的欲求がわかりにくいことがある
- 発達障害と似た症状が見受けらえることが多い
ですから、養育者は積極的に子どもの主張を率直に受け入れるようにします。
積極的に意見を聞いてあげる
18ヶ月~3歳までの時期は、親から離れて行動したいと思う時期なので、イヤイヤと拒否することが増えます。
お母さんにしたら、できないのがわかっているので、してあげようと思いますが、拒絶されるので面倒だと感じます。
案の定、できなくてお母さんの元に、泣きながらやってきますが、「一人前になりたい」欲求がさせることなので、よく聞いてあげましょう。
食べたくないと言えば、率直に理由を尋ね受け入れます。
理由は受け入れてやり、しこりを残さないようにします。
理由を聞いてあげることで、話す練習にもなります。
うまく言えない場合も、否定せずに受け入れてあげましょう。
親の立場では、まるでわがままなお殿様、お姫さまに映っても、それでもOKです。
否定することで「禁止令」になってしまう危険がある
もし、「そんなわがままを言ってはいけません」と否定すると
子どもは、「ノー」と言ってはいけないんだと学習します。
しかし、子どもは自分の考えを主張したいので、いろんな場面で「NO」を言いたがります。
その度に「わがままな子にさせてはいけない」との危機感から、否定を続けると、子どもは学習を重ねて、「NOと言ってはいけない」と学びます。
「NOと言ってはいけない」は、禁止令として深く心に刻まれると、成人して社会に出ても「NOが言えない人」になってしまい、苦痛を背負わすことになります。
「従順な子どもの心」が突出した人に育てない
人には5つの心があります。
- 厳格な父親の心
- 保護的な母親の心
- 大人の心
- 自由な子どもの心
- 従順な子どもの心
私は会社をコンサルティングするときに、アンケートをとって、会社の風土を調べます。
挑戦する活気のない会社の場合、社員の大半が「従順なこどもの心」が突出した人です。
採用段階から、「従順なこどもの心」の持ち主が集まり、自由な子どもの心の持ち主は退職し、「従順なこどもの心」の持ち主しか残らない会社なのです。なので挑戦する活気は会社から消えてしまいます。
従順な子どもの心」の持ち主はいいように見えるかもしれませんが、自分を抑圧しているだけなので、決して好ましいとは、言えません。
諸外国と比べ、家長制度が続いた日本には多いタイプですが、「自由な子どもの心」の強い人に育てたいものです。
イエス、ノーが言える子に育てる
この時期の子どもは自我を主張する時期です。
自分の意見、イエス、ノーを率直に相手に伝える練習をさせてやる時期なのです。
「10ヶ月~18ヶ月の時期」に制約を教え、「18ヶ月~3歳の時期」は子どものNOを認めてあげます。
これを逆にしてしまう親が少なくないので注意してください。
「10ヶ月~18ヶ月の時期」に制約を教えず、「18ヶ月~3歳の時期」にわがままだと言ってNOを認めないのです。これは間違いです。
前の10ヶ月~18ヶ月の時期が制約する時期だったのに対して、18ヶ月~3歳の時期はNOを認めてあげる時期なのです。
この両輪が機能することが、社会を生きる力の基礎になります。
この時期に教えることは、「自分の主張をしていい」ことです。
イエスともノーとも言ってもいいことを教えます。
それにはこどもの主張を聞き受け入れてあげるのがいいのです。
ただし誤解されないようにお断りしておきますが、個人の主張と社会の制約を混同しないでください。
ノーを認めてあげるといっても、社会の制約を冒すことは注意しないといけません。
そのときには怒った表情で「ダメ」でなく「なぜダメなのか」「どうするのがなぜいいのか」を落ち着いて教えます。
言葉が通じるかどうか心配するより、通じると信じて、正面から愛情を持って真面目に誠実に話すことが大切です。
真摯であればあるほど、言葉、言葉のトーン、表情、態度が一体になって届いていきます。これが子どもに届くのです。
もし制約せずに、NOを認めなければどうなるでしょう?
- 自分はOK、他者はNO
が対人関係の仕方として身につきます。
逆に制約が強く、NOを認めなければ
- 自分はNO、他者はOK
が対人関係の仕方として身につきます。
しかし、自我が消えてなくなることないので、表面は順応したように見えても
- 自分はNO、他者もNO
が対人関係の仕方として身につきます。
三つ子の魂、百までも
「三つ子の魂、百までも」と昔の人は言いましいたが、エラいものですね。
NOと主張しても、正しく受け入れてあげることで、
親に受け入れてもらえている「安心感」を得ることもできます。
子どもは間違った決断をしてしまう
野生で生きる動物は別として、すべての子どもは親がライフライン、生命線です。
これは動物のすべてに通じています。つまり本能で感じるレベルなのです。
もし、この時期に、子どもがNOと言うと受け入れてもらえず、
親がそれまでの態度を豹変させたら、子どもは見捨てられたと感じます。
その原因を自分にあると思わざるを得ないので、自分を責め、従順になります。
しかし、その従順は生きるために仕方なしに選択したことなのです。
心のうちでは深い傷を負っているのです。
それを出さずに「良い子」になろうと決断します。
つまり自分を抑圧することを覚えるのです。
「良い子でいよう。自分を出してはいけない(人と仲良くしない)」と決断するのです。
- 自分はNO、他者もNO
が、対人関係の仕方になります。
親でさえ自分を見捨てるわけですから、世のなかの人は見捨てるに決まっていると思うと、
親密な人間関係を築くことは傷つくことを選択するのと同じになるので、
人生に希望を持つことはできなくなります。
その反復で持たない方が『し合わせ」だと思うようになっていきます。
その結果、自分を出せば傷つくので、受け入れられるコミュニケーションをするためなら嘘が増えます
他者に嫌われないように、ひたすら外面の良い子を続けるか、
逆に、自分を傷つけて刹那的な愛情を求める人になってしまいます。
後者の場合は事件として露呈しやすく、ニュースになった事例に多く発見することができます。
またリストカットや売春など自傷行為に走ってしまうことも少なくありません。
18ヶ月~3歳の幼児の時期に、反抗期の子どものあり方を作ってしまっているのです。
親が気づくのは10年先、20年先なのですが、ほとんどの人は気づきません。
むしろ自分に非があることを認めないのが大半なので、10年先、20年先の対応も誤り、生涯に影響することが多いのです。
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大事にされているのは、傷ついた人と数多く交流してきたからなんですね。
だから心理学者かと思うほど、よく知っていて詳しい。
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