私たちはひとつの社会に暮らしています。
ですから協力を避けて通れません。
人と人が力を合わせる上で「共感」がないと円滑な協力を期待できません。
共感性とは「思いやり」を意味します。
人助けをするときに,助けようとする行動の動機となる感情です。
それには,他人の感情を正しく推し量ることが必要になります。共感できる力です。
共感性スキルは自己認識スキルを補完するスキルです。
共感性スキル(Empathy)は 自己認識と補完し合うライフスキルです。
この共感性というライフスキルによって、まわりの人の意見、感情、立場、気持ちを「そのとおりだ」と肯定的に受け止めることができるようになります。
共感性スキルのおかげで自身の内面から理解することができるようになります。
共感できることで、 表面的なつきあいを優先するために受け入れるようなことをしなくなります。
共感性スキルは自分を認識し、自分の短所を受け入れることができることから、「人はそれぞれ」と本心から思えるようになります。
まわりの人の短所や長所が見えても当然だと思えるようになり、自分と違うまわりの人の価値観、性格、願望、嫌なことにも共感ができるようになります。
しかし生半可な理解は過ちのもとです。
共感性の理解にはいささか注意が必要です。
日本には昔から「情けは人のためならず」ということわざがあります。
同じく、共感は同情や同感と異なるスキルで、相手に巻き込まれないスキルである点に注目しましょう。
共感性には2種類ある
共感性には情動的共感性と、認知的共感性の2種類があります。
情動的共感性とは、相手の情動や感情を自分の情動や感情として映し取ることです。
悲しんでいる相手の傍らにいたときに、自分まで悲しくなるといった現象を指します。
対して、認知的共感とは、相手の情動や感情を自分のものとして映し取ることなく、「相手は悲しんでいるのだ」と理解するプロセスを指します。
両者は同時に起きることもありますが、一方のみが起きることもある独立した思いです。
共感はよいカウンセリングを行うための大前提です。
もし、共感性が不十分なまま、カウンセリングしたとします。
認知的共感性のみが強くて、情緒的な反応をすると、相手はポーズに感じて不愉快な印象を持つことも少なくありません。背伸びせずに正直であること、つまり誠実さが大切なのです。
共感力は慈悲の根本
仏教では、共感は慈悲の根本と捉えて、よいものと考えるのが一般的です。
しかし、心理学者のP.ブルーム( カナダ系アメリカ人) は共感に基づく判断は、むしろ危険で、社会の中で様々な問題を悪化させていると主張しています。
私たちは社会的な問題について判断するときは、情動的共感に基づくべきではないとブルームは主張します。たとえば、社会福祉政策について判断するとき、援助を必要としている人のつらい気持ちが伝わってくるかどうか、情動的共感を基準にして判断してはならないと主張しました。
情緒的共感は近くにいて親しい人からは強く感じ、距離的に遠い人からは感じることは稀です。つまり社会問題のほとんどは、自分たちとは直接の関わりのないところで生じていることに気配りが必要だと主張したのです。しばしば問題になる幼児虐待死は、認知的共感性の欠如といえるでしょう。
これに通じる考え方に、自己分化があります。
自己分化とは、感情と知性を分けて考えることができると感情に揺さぶられることなく、知性を働かせて考えることができます。真の共感性は自己分化できることが基礎なのです。
真の共感性
真の共感性(Empathy)を身につけると、以下のようなメリットが獲得できます。
・他人を理性的にケアする
・いろいろな人々に対して寛大になる
・攻撃的な対人行動がなくなる
・自然に友達をつくろうとし、いままでよりも好かれるようになる
・環境を大切にする
共感性は自己認識なしには芽生えることがなく、自己認識と補完しあっています。
まとめ
共感性スキル(Empathy)は 自己認識と補完し合うライフスキルで、本当の共感力は自己認識なしに芽生えません、