共感性スキルは、どのようにすれば身につくのでしょうか?
他者の価値観を否定せずに受け入れて、そこから「あなたもわたしも一緒」を見つけ出す訓練を通じて育むと身につきそうですね。ヒントがいっぱいの名作『星の王子さま』から学びます。「人格障害」の特徴には、次のような特徴があるといいます。
- 表面上は口達者
- 利己的・自己中心的
- 自慢話をする
- 自分の非を認めない
- 結果至上主義
- 平然と嘘をつく
- 共感ができない
- 他人を操ろうとする
- 良心の欠如
- 刺激を求める
では、共感からはどんな傾向が見聞きできるのでしょう。
- 同質性がある(例:同じものを食べる 同じものを使う)
- 意識的に行う
- 疎遠にしない
- 疎遠な雰囲気を作らない配慮
- 共感力を創造する
- 世代 国境 町 あらゆる異質 バラバラを超える
- 真の多様性を尊重するために多様性(バラバラ)を乗り越える
- 分断させない
共感する以前に「あなたもわたしも一緒」を見つけ出す土台になりそうな態度ですね。
共感性スキルを含む『ライフスキル』は、生きる力であり、技術です。
おそだてコムでは、『ライフスキル』ひとが健全に生きて行くために世界保健機構が定めた「ライフスキル」を仕事を通して身につける方法についてレポートしています。
見えぬけれどもあるんだよ 。見えぬものでもあるんだよ。
ここでは前回の共感性スキルにつづいて、名作「星の王子さま」から真実の共感性スキルを学びます。
共感性スキル
共感性(empathy )とは,まわりの人の意見、感情、立場、気持ちに対して「そのとおりだ!」と感じとるスキルです。ライフスキルは補完しあってひとつのスキルを育んでいます。
共感性スキルは自己認識スキルと補完し合っています。自分を知るために他者に共感できることは欠かせないようです。
ただ特に特記するべきこととして、注目したいのは、表面的でなく、内面から理解すること。
さらに、それに理解はしても巻き込まれない点にあります。
それゆえ共感性はスキルになりうると解釈すべきである点です。
いろいろ定義があると思います。
ネット上にはいろんな人が存在し、いろんな大人の答えが氾濫しています。
でも自分と愛する人を心から大切にしていて、一生後悔したくないなら、星の王子さまが小さい身体を通して訴えるメッセージに耳に傾けてください。
星の王子さま
ほんとに弱い花なんだよ。ほんとに無邪気な花なんだよ。
身のまわりといったら、四つのちっぽけなトゲしか、もっていない花なんだよ。
さあ、もう、なにもいうことはない・・・」そして歩きだしました。そして一本の木が倒れるでもするように、しずかに倒れました。音一つしませんでした。あたりが砂だったものですから。
とっても世間知らずし、世界に立ち向かうのに役立たずの4本のトゲしか持っていないんだから・・・」
ぼくと王子さまは、どのように出会い、どのように別れたのでしょう。
その短くも、一度真剣に読んだら、一生、頭から離れなくなる物語・・・
いいえ、人生を変えてしまう物語、それが「星の王子さま」です。
では、「出会い」に戻って進めて行きましょう。
『星の王子さま』・・・共感と責任の絆
王子は自分の星を出て6つの星を回って地球の砂漠にたどり着きます、
サハラ砂漠に不時着した飛行機の操縦士(ぼく)は、ここで王子と出会います。
王子さまは操縦士に、自分が生まれた星のことや、色々な星を旅したときの話をしてくれます。
二人は8日間一緒に過ごし、絆を深めていきます。
その出会いから別れまでのお話をまとめたのがフランスの作家、アントワーヌ・サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」です。
そしてなによりも大切なことは、共感こそ責任のはじまりであり、責任を果たすことが人生のよろこび(幸せ)だということです。読んでも読んでも、何度読んでも迫ってくるのは後悔です。
それはキツネのいうように私が責任を果たしていないからです。
人生で一番大事なことであり、他のことはどうでもいいことばかりなのです。
『星の王子さま』・・・あらすじ
「星の王子さま」は、27の章で構成されています。
- 「ぼく」は、どのようにして飛行士になったか
- 「ぼく」と王子さまの出会い
- 1日目:星の王子さまと羊のこと
- 2日目:ぼくが王子さまのことを書く理由
- 3日目:パオパブの木のこと
- 4日目:夕日のこと
- 5日目:羊はバラを食べるの?
- 王子の打ち明け話
- 天邪鬼な花との別れ
- 最初の星:自分の権威にこだわる王ざまの星
- 2番目の星:うぬぼれ男の星
- 3番目の星:酒飲みの男
- 4番目の星:ビジネスマン
- 5番目の星:点灯夫のいる星
- 6番目の星:地理学者のいる星
- 7番目の星:地球
- ヘビ
- 花
- こだま
- 5000本のバラ
- キツネ
- 転轍手(てんてつしゅ)
- 商人
- 8日目の砂漠
- 井戸の水
- 古い石の壁で
- 6年が過ぎて
「あらすじ」といっても、これではなんだかわかりませんね。人と人はつながりがあります。
27の章もつながりがあります。つながりに特別な意味があるわけではありません。
ブッダ(お釈迦さま)は『一人一宇宙』と説かれました。だれも『一人一宇宙』から出られないし、『一人一宇宙』に入ることもできない。でも繋がって大宇宙を形成していると説かれました。
出ることも入ることもできないのにつながることができるのには、秘密があるのです。
つながりとは、”費やした時間”なのです。
『星の王子さま』の「商人」の章で、時間にこだわる商人のエピソードがでてきますが、時間の意味が違うことに気づかれると思います。
「ぼくが王子さまのことを書く理由」の章では、本を真剣に読んでほしいという「ぼくの願い」も語られています。真剣に読めば読むほど、生涯の一冊になること間違いなしです。
だから真剣に『星の王子さま』を読んでいただくために「あらすじ」もこの程度に納めました。
キツネに教わった大切な「秘密」
王子は自分の星を出た後、七番目の星として地球にたどり着きます。
歩き続けて、そこで、やっと人間のいるところへ通じる一本の道を見つけます。
その道を歩いていくと、自分の星に置いてきたパラの花とそっくりの花が五千本も咲いているのを発見してショックを受けます。
この宇宙で一つしかないと思っていたパラの花がこんなにもたくさんあることを知って、自分のバラの花が心痛めるだろうと想像して王子は泣き崩れます。
「これを見たら彼女は本当に困ってしまうだろうな、と彼は考えた。
笑われまいとして、ものすごく咳をして、それから死にそうなふりをするだろう。
そこでぼくが彼女を生き返らせるふりをしなければ、ぼくに辛い思いをさせようとして、彼女は本当に死んでしまうかもしれない・・・。」
そんなとき、王子の前にキツネが現れます。
キツネは「飼いならす(=絆を結ぶ)」ことの大切さを教えます。
「きみにとって10万匹のキツネのよく似た一匹のキツネでしかないが、きみがおれを飼いならしたら、おれときみは互いになくてはならない仲になる。きみはおれにとって世界でたったひとりの人になるんだ。おれもきみにとってたった一匹の・・・」
賢者の化身であるキツネの言葉に「わかってきた」と言います。
バラの花についても同じ道理だと覚ります。
そしてキツネは、王子と別れ際に簡単だけど大事な秘密を言います。
「ものは心で見る。肝心なことは目では見えない。きみがバラのために費やした時間の分だけ、バラはきみにとって大事なんだ。人間たちはこういう真理を忘れている。でも、きみは忘れてはいけない。飼いならしたものには、いつだって、きみは責任がある。」
王子さまは、忘れないためにキツネの言葉を繰り返します。
それでも何か言わなければと、突き動かされるのは、(バラが)ぼくに辛い思いをさせようとして、彼女は本当に死んでしまうかもしれない・・・。と感じる王子の気持ちに共感するからです。
共感と同感
共感に似た言葉に同感があります。
共感的理解は「共感的であるけれど、同情的ではない」という点が重要なのです。
同感は,相手の心情や感情に取り込まれて同じ気持ちになることを意味します。
同じく同情も、他人の気持ちや苦しみを自分のことのように感じとる意味です。
一方 、共感は、同感、同情と明らかに違います。
確かに相手の気持ちを感じとり,内面から理解しますが、同じ気持ちになって巻き込まれないのです。
それは自他境界が明確だからできることです。同感には自他境界が曖昧な場合があります。
自分を認識できるからこそ、まわりの人をまわりの人として自分とは違う存在としてはっきり認識できるから共感できるのです。
それゆえライフスキルの中でも、極めて重要で大切なスキルなのです。
このスキル、つまり技術的能力は、まわりの人の感情を理解し、他人の立場に立って物事を見ること、そして人それぞれの感性の違いを尊重して、まわりの人を思いやる能力です。
もう少し具体的に説明すると、共感的になることは、弱者といわれる人々,とりわけ精神障害をもった人々のように、いままさに援助を求めている人々やケア、サポート、援助が必要な人々が非難されたり、排斥されたりしているときに、思いやりのある行動がとれるようになることです。
自分の感情や精神を他の人に投射することでその人と自分との融合を感じることをいいます。
王子がパイロットとキツネと作った絆は共感から生まれたもので、真実の交流があればこそのものです。共感性は、たとえ親しい問柄でなくとも、自分とは違うまわりの人を理解し、受容することに役立ちます。
相手の気持ちに共感する
自分が相手の気持ちに共感していることを相手に伝えることは,親密な人間関係をつくるうえで欠くことのできないライフスキルです。
●共感とはどういうことか、それが対人関係にどんな働きと影響をしているのか、知ることは良好な対人関係を作る上でとても重要です。
たとえば映画やビデオには、いろいろな人の様々な表情が写っています。作ったものであっても、それらを通して他者の感情に触れ、自分がどのように感じているかチェックするのも自分を知る上で重要で、共感が対人関係でどんな働きをするのか考える機会になります。
●相手の非言語的なメッセージ(態度、表情)に含まれた感情を知ることも大切です。しかし、非言語的メッセージは誤解を招きやすいので、トレーニングを重ねていかないと分らない場合が多くあります。特に親密な関係になるほど、非言語的メッセージを使う傾向が強くなりますので、注意したいものです。
●ほめる、励ます、心配するなど、温かい言葉をかけるには、相手に注目して、よく観察する,する必要があります。特に結果よりプロセスに注目することが重要です。
つまりなにをしたかよりも、なにをしょうとしてどのようにしたかへの関心が重要なのです。
●温かい言葉をかけることで、どのような反応が得られるかを知るには、日常生活にチャンスがあります。
いつ、どこで、だれに実行したら、どんな結果になったか、日記に書いておくと自身のデータベースとして役に立ちます。(日記はとても重要です)
非言語コミュニケーション能力を磨く
非言語コミュニケーションとは、言語に依らないコミュニケーションのこと。ノンバーバル・コミュニケーションとも呼ばれています。 表情や身振り手振りなどの仕草、声のトーン、服装、インテリアなどが挙げられます。アサーティブ(積極的自己表現)に反しますが生い立ちが育成環境でノンアサーティブな方も多いので、非言語コミュニケーションにも共感力を磨きましょう。星の王子さまはバラとのコミュニケーションの失敗を後悔します。
花の言うことを聞いてやらない方がよかったんだ。とある日王子さまはぼくに打ち明けた。
「花の言うことは聞いてはいけないんだよ。ただ眺めて、香りを楽しんでいればいいんだ。あの花はぼくの星をすっかりいい匂いで包んでくれたのに、ぼくはそれを楽しめなかった。あのトラの爪の話にしたって、ぼくはいらいらしたけれど、ただ聞いてほろりとすれば良かったんだ。
彼の打ち明け話は続いた。・・・・
「ぼくはなにもわかっていなかった!言葉じゃなくて、花のふるまいで判断すればよかったのだ。彼女はとてもいい匂いがしたし、輝いていた、ぼくが逃げ出したのが間違いだった!あの小細工の陰にかくれた優しさを察してやればよかった。花というのはとても矛盾した性格だからね!でもぼくも若かったし、彼女の愛しかたがわかからなかったんだ。
禅語に「放下著(ほうげじゃく) 」という言葉があります。放下とは手放すという意味です。著とは、命令の意味。つまり「放下著(ほうげじゃく) 」とは、「手放してしまえ!」という意味になります。何を手放せばいいのでしょう。「自我」です。
ユングの忠告と般若の知恵
カール・グスタフ・ユングは、深層心理をけんきゅうしたスイスの精神科医・心理学者。
ユングは「人は40代・50代になると人生のバランスが崩れている感じを持つ」という名言を残しています。
星の王子さまは「大人っておかしないきものだなあ」と大人に出会うたびに感じます。どうでもいいことに関心を持ち、肝心な自身のことに無頓着だからです。
つまり年齢を重ねるほど他者の価値観が重きを置いて自分の価値観を軽視している。子どもにはない傾向に驚くのです。ユングの言葉はその積み重ねの結果をさしているに留まらず「自我」の正体をついています。
般若心経では、他者の価値観を自分の価値観だと思い込んだ自分の考え通りであることとすると、年齢とともにどんどん荷物は重くなり、悩みが増え続ける。そんなもの(=エゴ)はあっさり全部捨ててしまえというのが「放下著(ほうげじゃく) 」なのです。
エゴにきっぱり見切りをつける。それが「般若の知恵」です。
王子さまの慟哭は「エゴ」を優先してしまった後悔です。
キツネが「簡単な秘密」といった次の言葉には、因果関係が集約されています。
キツネの短い言葉には、幸せの法則が凝縮されていたのです。
般若の知恵も、共感性スキルも、幸せの法則を実践することに他なりません。
まとめ
後悔先ただず。人生は逆算です。
すんでいることを後から後悔しても取り返しがつかないので、事前に十分注意してください。